寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「では、お金はあとで返させてください」
それならば私の気持ちも収まる。
「そんな必要はないと言っているだろう」
「そういうわけにはいきません!」
誰もいない通路で足を踏ん張りとどまった。
風見さんが険しい表情をして私を見下ろす。
「キミは恋人に恥をかかせるつもりか」
ギロリと睨まれて動けなくなる。
「そんなつもりは決して……というか恋人って……」
モゴモゴと言っているうちに「つべこべ言わずに来るんだ」と私を強引に引っ張った。
そこまでされてしまって断れるような状況ではなくなり、仕方なく風見さんに従うことにした。
エレベーターで一気に一階まで下りてビルから外へ出ると、そこには黒塗りの高級車が停車していた。私がたった一度だけ乗せられた車だ。
運転席から寺内さんが降り立つ。
「こんにちは、水城様」