寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
風見さんは真っ直ぐエレベーターへと向かい、パネルの五階をタッチした。行く店が決まっているようだ。
ところが風見さんは通りすがりの店にはいっさい目もくれず、“プライベート”と金の文字で書かれたドアを開けて中へと入った。
いったいどこへ……?
心許ない思いで歩いていくと、デパートの女性スタッフににこやかに出迎えられた。
「いらっしゃいませ、風見様」
事前に連絡を入れてあったのか、そのスタッフが「お待ちしておりました」と付け加える。
案内された部屋はシックな内装で、ワインレッドのソファセットが目を引いた。
上客だけが通される部屋なのだろう。
そこにかけて待つこと数分。
カラカラと軽い音を立てて、女性スタッフが洋服の吊るされたハンガー掛けを引いてきたかと思えば、そのうしろからまた別のスタッフがワゴンにバッグや靴を載せてきた。
パッと見た感じだと、田丸さんが着ていたようなスーツから、カジュアルなスタイルまで取りそろえてあるようだ。
私が呆気に取られていると、風見さんが「彼女に似合うものをいくつか見繕ってほしい」と女性スタッフにお願いする。