きっと、ずっと、恋だった。



あの夏の日だって。
あのプールサイドだって。



何度思い出したかわからない。

何度後悔したかわからない。




足先に絡まる冷たい水が。

照りつける太陽に熱くなる頭が。

隣で笑う、きみの横顔が。




全部まぶしくて。

消えてしまいそうで。

それでも触れてみたくて。



そのシャボン玉に手を伸ばしたのは、頭で考えるよりも先に身体が動いたから。




あの時キスしていたら。

あの時何か言っていたら。

あのまま無かったことにしなかったら。




俺たちどうなっていたんだろうって、後悔しては首を振って、芹奈は俺には手が届かないって言い聞かせて。



そんなきみに触れても消えないこの距離が、奇跡みたいで正直まだ実感が持てなかったりして。




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