きっと、ずっと、恋だった。



「あーき、どうしたの?」




きみだけが呼ぶ「秋樹」って名前が。

俺だけが呼ぶ「芹奈」って名前が。



心の奥の、奥のほうの。

1番大切な扉に鍵をかけて、誰にも触れられないように、壊されないように、大切に大切にしたいものだったことも。


きみは知らないんだろう。





「何でもないよ」

「えー?」

「芹奈がかわいいって話」

「…なにそれ、誤魔化してるでしょ」

「はは、」



しばらく喋って、そろそろ出ようか、と立ち上がると。





「秋樹、スマホ忘れてるよ」




机の上に置いたままだったスマホを取ってくれた芹奈が、その画面を見て動きを止める。




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