きっと、ずっと、恋だった。


「…柊香は、言うの?」


柊香は少し驚いた顔して、


「気付いてたの?」

ってこっちを見た。




「さっき、もしかしたら、って」


「ああ…そっか、」




いつになく真面目な顔で、だけど少し寂しそうに目を伏せて。


視線の先には、秋樹にからかわれでもしたのか、ムキになって言い返しつつも笑っているコウ。









「…言わない」



「え、そうなの?」




「リスクを背負う勇気が、ないから」







この気持ちを、伝えるっていうのは、そういうことだ。


伝えたい結果がどうであったにせよ、関係が変わってしまうことは目に見えている。

もしかしたら、5人で今みたいに笑いあえる、この幸せな時間すら失ってしまうかもしれなくて。


その気持ちは痛いくらいわかったから、私は何も言えなかった。




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