15歳、今この瞬間を
「名前」

「名前?」

「夢希って名前、嫌いなんだ。だから呼ばないでほしい」

キョトンとしている佐久田くんに、あたしはストレートに言葉を返した。

「ふーん…。でもオレが呼びたいって言ったら?」

「はぁ?」

あたしは思わず顔をしかめた。

普通は相手の気持ちを汲むでしょ…ここは「わかった。ごめんね」とか言う場面じゃないの?

「ロウ、井上さん嫌がってるだろ?」

あぁ、菊谷くんが、佐久田くんの何倍も大人に見えるよ。

「そぉ?だって"井上さん"より、"夢希"の方が言いやすくね?」

なかなか引かない佐久田くんにだんだん腹が立ってきたあたしは、黙っていられなくなった。

「…呼ばないでって、頼んでるじゃん。夢と希望なんて書いて夢希だなんて、最悪すぎるから」

「なんで?いいじゃん、親の願いだろ?夢と希望を持って生きて欲しいって…」

わかった風なことを言う佐久田くんに、イライラが増えていく。

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