15歳、今この瞬間を
「お母さん……!」

あたしは嬉しさのあまり、お母さんに抱きついた。

これからは、きっともっと仲良くなれるーーそう確信した瞬間だった。

今度はお父さんが「ふう」と息を吐くと、

「お父さんの仕事の都合で、転校ばかりさせて悪かったね。夢希の気持ちはよく解ったから、ママとここに残るといい」

お父さんーーー……。

「お父さん、ありがとう……!」

「まぁ…あれだ、たまに顔見せに来てくれれば、お父さんはそれでいいから…」

「ふふ、寂しいんでしょ(笑)」

お母さんが、お父さんをからかう。

「からかわないでくれ。さあ、話は終わりだ。夢希は明日は大事な日なんだから、もう寝なさい」

「はぁい」

あたしは、軽やかな足取りで自分の部屋に戻った。

明日から着る真新しい制服が、キラキラと輝いて見えた。


"みんながみんな、夢と希望に溢れてキラキラしてるわけじゃない。必死にもがいて、何とか暗闇から抜け出そうとしてるヤツもいるんだ"

転校してきた翌日に、ロウに言われた言葉ーーー今更だけど、ロウ自身のことを言っていたのだと気づく。

「……」

ロウは、暗闇から抜け出せたのかな……。



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