15歳、今この瞬間を
でもこの2人は、あたしを転校生扱いしていない気がして、嬉しいような照れくさいような……あたしは今の気持ちを言い表すことができなかった。

「2人とも本当にありがとうね。またいつでも来てちょうだいね」

玄関先で、あたしの横にいるお母さんはご機嫌だった。

「気を付けて帰るんだぞー」

お父さんの声が、リビングから聞こえてきた。

あたしも、お礼くらい言った方がいいのかな…。

「あ、ありがとう…菊谷くん」

「え?ごめん、なんだった?」

「…」

あたしの精一杯の努力は、菊谷くんの一言で泡となって消え、だんだんと視界が足もとへ移っていった。

「夢希ちゃん、もっと大きな声で言わなきゃ聞こえないわよ。昔はもっとハキハキしてて…」

お母さんは、すぐそうやって過去の話ばかりするーーーあたしがどんな気持ちかも知らないで。

好きで、こうなったわけじゃないのに…。

「てかオレにはないのー(笑)?」

「あ……」

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