15歳、今この瞬間を
思わず顔を上げると、佐久田くんがヘラっと笑っていた。

あたしの勘違いでなければ、さっきの…佐久田くんには、聞こえていたようだった。

「来てなんて、頼んでないし」

でももう、お礼なんて言えないのがあたし。

「言ったな〜?リョウ聞いたか、オレたちの善意を夢希は…(泣)」

「あはは、夢希はすぐ毒を吐く(笑)」

「ふふふ、夢希ちゃん素直じゃないのね」

「……」

あたしは佐久田くんの言葉に、救われた気がしていた。

「そうだ、あなたたち夢希ちゃんのケータイの番号知らないの?今日も連絡を取っていなかったみたいだし」

「うん。夢希、スマホ持ってるなら番号交換しようぜ」

そう言った佐久田くんの右手には、スマホが握られていた。

「あ、じゃあ俺も」

菊谷くんも、ゴソゴソとバッグの中をあさっていた。

「良かったわね、夢希ちゃん」

全然良くないよ、余計なこと言わないでよお母さん。


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