愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
ダメだ、クラっとする。
やっぱりコウさんの笑顔は悩殺的だ。
たまに見せてくる素の表情がたまらない。
これって私だけに見せてくれる特権だって思ってもいいんだよね?
私だけのコウさんだって…
「あ、でも本当、今日はどうしたんですか?」
何となく見惚れたままでいるのが恥ずかしくなり、私は感情を切り替えるようにもう一口ワインを飲んだ。
このワイン美味しい…
正直初めて飲んだけれど、とてもまろやかで飲みやすいお味だ。
もしかして、私の為にこれをチョイスしてくれたのかな?なんて…
「……別に。クリスマスと新年会…、約束しただろ?それを実行に移しただけだけど?」
それを聞いて「えっ」とすぐさま目を丸くする。
「覚えてくれたんですか?」
「当たり前だろ。自分から言い出したことを忘れるほどまだ年はとってねーよ」
「コウさん……」
嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しい。
こんな些細なことをちゃんと覚えててくれるなんて、コウさんに対してまた一つ好きの株が上がっていく。
意外な部分の優しさが垣間見れて、心がホカホカと温められてくるから、表情もゆるゆるになる。