愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「コ、コウさんこそ酔ってます?言ってることが非常にエロくて意地悪ですよ?」
「ボチボチな。お前が可愛い反応するからつい、苛めたくなる。ほらもっとこっちに来いよ」
「わっ!」
腕を引かれ、強引な手によって移動させられたのはなんと、彼の膝の上だった。
そのまま彼の左腕が私のお腹に回り、後ろからバグされる格好にさせられた私はギョッと言葉を見失う。
突然のことに抵抗することも出来なかった。
「…あの…、この体制って非常に食べにくくないですか?ほら、料理も取りにくいですし…」
とは言いつつ、後ろから感じる体温があたたかい。
彼の温もりが心地よく、一旦こんな風にくっついちゃうとまた離れがたくなるのも正直な気持ちなわけで、文句を言いつつ私はそっと彼の手を握った。
「ふっ、お前…、言ってることとやってることが噛み合ってないぞ。まぁいいけど…、何ならこのまま俺が食べさせてやろうか?」
そう言われ、私は恥じらいながらも頷いた。
もうこうなったら何でもありだ。
とことん彼に甘えて久しぶりの逢瀬を甘く堪能しちゃえばいいんだ。と思い、彼の気の済むまま本能のままに私は口を開けた。
「…これ、ヤバイです!」
先ほど切り分けたタルトがこの上なく美味しい。
上に乗ったフルーツが絶妙な甘さと舌触りで私の中の副交感神経を刺激する。
そんな私を見てコウさんが楽しそうに目を細める。
「お前を見てるだけで満腹になりそう」
そして私の手を取り、そっと左手の薬指を撫でた。