愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

それが無意識なのか、意図的のかは分からないけれどコウさんの滑らかに動く指先に反応してゴクリ、口の中のケーキを飲み込んだ。


「ちゃんと嵌めてますよ」

「みたいだな」

「だってお気に入りですもん」


むしろ宝物だ。

プラチナで作られた細いアームは上品で女性らしく華奢なデザイン。
上にはV字に宝石がちりばめられていて、それがとってもおしゃれで可愛くて、他のリングと重ね合わせても可愛いなって。
さりげないデザインが凄く気に入っている。

色んなファッションでも使えそうだし、これを着けた時、何度も何度も見返してしまった。

もう嬉しくて嬉しくて。

どんな思いでコウさんはこれを選んでくれたのかなって、純粋にその時の場面を想像したら顔が綻んでしまう。


「毎日肌身離さずつけてますよ」

「そりゃどうも。あげたかいがあるな」


コウさんの声も優しく満更でも無さそうだ。

私の手を撫で包む彼の手の体温が気持ちいいぐらい温かい。



「あ、そうだった!」


その時、私は思い出したようにコウさんから手を離した。

そのまま立ち上がった私は肝心なことを忘れていたことに気づき、「ちょっと待っててください!」と驚くコウさんを置いてけぼりにしてその場から席を立つ。
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