愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
すっかり舞い上がってたけど、大事なことを忘れちゃいけない。
えっと、私の鞄は…
私は自分のバッグと一緒に置いてあった紙袋に目を向けると急いでそれを掴みコウさんの元に駆け戻った。
気に入ってくれるかどうかはさておき、このタイミングを逃しちゃいけないよね?という思いを巡らせながら、再び彼の横にちょこんと正座する。
そして想いを込めて手を伸ばした。
「あ、あの、これを…」
こちらに向き合った彼にプレゼントしたもの。
それは手袋とマフラーだった。
この1ヶ月何しようか迷って考えた結果、これが無難で一番いいんじゃないかと思ったんだ。
だって貰いっぱなしじゃさすがに悪いもん。
「一応クリスマスのお返しと、昇進祝いも込めて、です」
昇進祝いは今日知ったばかりだから、付け足した感じになっちゃったけど、それでも私の精一杯の気持ちを込めて。
「どうぞです」
改まって渡すと、コウさんは一瞬面食らった表情を見せながらも「どうも…」と言いながら受け取ってくれた。
そして中身を見た瞬間、見たこともない温かな表情を見せてくれる。
「言っときますけど、別にいいのに…とか、野暮な言葉は禁止ですよ?素直にありがとうって喜んでもらえたら嬉しいです」
コウさんが言いそうな言葉を先回りして釘をさしておいた。
だってコウさんなら言いそうだもん。
だけどそれはコウさんなりの照れ隠しだということが最近分かってきたからなのか、
悪戯に表情を緩めた私は彼への対応が日に日に上手くなってきてるのかもしれない。