愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「お仕事で外に出るとき、寒いときに使ってくださいね」
「ああ、そうする。サンキューな」
私の釘指しが成功したのか、コウさんは一瞬「生意気な…」という顔はしたものの、それ以上余計なことは言わず、素直な言葉を口にした。
それを聞けただけで当然私も嬉しくなる。大満足だ。
だって何だか私を見つめる眼差しが優しくて、とても柔らかな口調なんだもん。
そして再びお酒を飲み始めた私達は美味しい料理とケーキを堪能した。
いい気分で酔ってきた頃、コウさんが悪ふざけでデザートの苺を口移しで食べさせてきた。
これにはさすがに動揺したけれど、ふわふわ気分の私はそれを自然に受け入れる。
与えられる甘い味覚を口の中全体で賞味するのと同時に、コウさん自身も酔しれるように味わった私は彼の腕の中でしっかりと狂わされてしまう。
「コウさ……」
「なに?もっと欲しい?」
「これ以上はちょっと…」
何度も口付けを交わしながらとびきり甘い時間を過ごした。