愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
コウさんの腕の中はやっぱり温かく、それは次の日になっても嬉しいぐらいに続いた。
昼近くに目を覚ました私はコウさんに連れられてショッピングを満喫する。
私がコウさんの家で料理しやすいようにと、足りない調理具を買い足してくれたり、その他生活雑貨の小物まで買ってくれて驚いてしまう。
それ意外にも洋服や鞄、アクセサリーに美味しいイタリアン。
ディナーには宣言通り、ホテルの最上階の美味しいレストランまで連れてってくれて、私はこれ以上ない幸福を噛み締めていた。
「あの、ご馳走さまでした」
「少しは満喫できたか?」
「ものすっごく!」
まるで夢のような1日だった。
こんなにデートらしいデートをしたのは久しぶりで。
だけれど時間はあっという間に過ぎていく。
外に出れば空は当たり前だけど暗くなっていて、ホカホカとした気持ちが急に寂しいものに染色されていく。
だって別れの時間までもう少し…
「そろそろ行くか」
最後にスカイツリーの景色を堪能した私は再びコウさんの車へと乗り込んだ。
窓から見えるビルの明かり、車のヘッドライトの淡い光を見ていたら、余計言いようのない切なさを感じてしまい、すごく楽しかった分だけ離れるのが…辛い。
つい、口数も減ってしまう。