愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「どうした?疲れたか?」


そんな私を見たコウさんが、気遣うように声をかけてくれる。

彼の首元には昨日私があげたカシミアのマフラーが。

うん、やっぱり似合ってる。
彼の雰囲気に馴染むようにグレーの色にして良かっとつくづく思う。
さっそく付けてくれたことが嬉しくて、誇らしげな気分にさえなってくる私は単純だ。


「…いいえ、あ、でも今日はどうしたんですか?なんか必要以上に色々と買ってもらっちゃって、何かあるんですか?」

「まぁ、たまにはな」


コウさんが前を見たまま口元を上げる。

何ていうか、いつになく大量な買い物をした気がするのは大袈裟でもないと思う。

だって後ろの座席やトランクの中には今日買った荷物でいっぱい。もちろんその中には彼の使う物もあるけれど…


ふと見た横顔は特に普通で何も変わらないクールなコウさん。変な様子も感じられないし、私は寂しさを隠すように頑張って笑顔を向けた。


「ありがとうございます。嬉しいです」

「知ってるか?男の優しさには大抵下心が隠れてるって。この先そういう男が近寄ってきても油断するなよ?お前は危なっかしいからな」


それはどういう意味なんだろう。

思わず首を傾けながら、彼の横顔に問いかける。


「それって今日のコウさんみたいなことですか?」

「さぁな、それは自分で見てしっかり考えたらいいんじゃね?」


よく分からないんですが…

それって刑事としての忠告?

だけど、コウさんはそれ以上何も言わず他の話題に変えてしまったから、それ以上追及することはできなかった。
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