愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
そして別れの時間まであと少し…
マンションまでたどり着いた私は寂しさを堪えながら、今日買った荷物を運ぶのを手伝った。
とは言っても私は軽いものばかりだけど…、重たいものはほとんどコウさんが持ってくれたから私は部屋に入ってコウさんの代わりに電気やエアコンを付けてあげた。
でも良かった。あのまま自宅に送られなくて。
もしかしたらこのままうちに帰されちゃうのかとも思ったけれど、意外にもコウさんが連れて来てくれた所は彼の家だった。
「何か温かいものでも飲みます?」
まだ離れたくない。
その一心でコウさんに笑顔を向ける。
どうしてか、今日に限って離れがたくてしょうがない。
もう少し、もう少しだけ…
時間は夜の22時を回ったとこれだけど、せめてお茶の一杯ぐらい飲んでも罰は当たらないよね?
そう思い、荷物を片付けソファーに腰を降ろしたコウさんに温かい珈琲を手渡した。
「明日はお仕事だって言ってましたよね?」
「ああ、あっという間の休息だったな」
コウさんがフゥ…、と息をついて私を見る。
「お前は?梨央の明日の予定は?」
そう聞かれ、何となく考える素振りを見せたあと私は顔を横に振って曖昧な返事をした。