愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「予定は未定です」

「ふぅん」


自分で聞いておきながら、コウさんはそんな気の抜けた返事をした。

再び珈琲を口に付け、あっさり私から視線を反らしてしまう。

そんな彼の態度に寂しさを覚えながらも、やっぱり気にするのは時間のこと。

時計をチラチラ気にしながら、いつ「送ってく」と言われるのか、まるでハラハラと時限爆弾でも抱えてるような気分だ。


「あ、あの…」

「ん?」

「明日暇だったらご飯とか作りに来てもいいですか?」


やっぱりコウさんに会える口実を少しでいいから作りたい。

明日からまた会えない日々が続いたとしても、せめて…ね?

例えそうでもコウさんに栄養のつく美味しいものを食べてもらいたい。

そんな気持ちで熱い視線を送っていたけれど、彼はどうしたのか無言のまま何も返事をくれようとしない。

私の作った珈琲を飲みほしたあと、「そうだな…」なんて呟いてまた黙りこんでしまう。

そんな態度を見せられて当然だけどシュンとしてしまう。


「め、迷惑ですか?」

「迷惑というよりむしろ…」


言葉を濁らせた彼にやっぱりショックを受ける。

むしろなんだろうか?

この反応はどう考えても好意的じゃないよね?

そう思ったら当たり前だけどショック。
何だか泣きそうになってくる。
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