愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
「や、やっぱりいいです。迷惑ですよね?勝手なこと言ってごめんなさい」
思わず俯くと私は飲みほした空のカップを持ち、コウさんに顔を見られないように急いで立ち上がった。
なんだか急に目頭が熱くなり、まともにコウさんが見れなくなってしまう。
少しでも彼女らしいことをしたいと思ったのだけど、彼にとってはあまりよろしくないことなのかもしれない。
「えっと、そろそろ帰りま……」
そう言いきる前に突然手首を捕まれた。
そのまま引っ張られた私は再びソファーの上へと舞い戻されてしまい、ビックリした瞬間彼は呆れたように私を見る。
「ちゃんと話は最後まで聞けよ」
彼の声は何故か決まりの悪いものだった。
そして私はコウさんによってもう一度向き合わされる格好になるのだけど、妙な雰囲気に押し潰されそうな感覚だ。
「なに泣きそうな顔してんだよ」
「そんな顔してませんよ」
「ふっ、素直じゃねーな。…いや、ある意味これは素直なのか?」
「何なんですか?意味が分かりません。別に迷惑なら明日は来ませんから安心してくださいよ」
少しムッとした言い方に。だけれど涙混じりになってしまうと、コウさんは私を見つめた後やっぱりどこか呆れたような口調になる。