ずっとキミが好きでした。
夕飯の買い出しをするのはおれの担当だ。


足腰が弱って買い物に行きづらくなった祖母に代わっておれが買い出しをするようになって早くも3年。


もう慣れた。


田舎町の小さなスーパーではなく、今日は学校近くのスーパーに寄った。


祖母に指示されたものは、地元密着型の小さなスーパーにも売っているけれど、おれが欲しいものはそこには置いていない。


おれは陳列棚を一つ一つ確認しながら目的の物に忍び寄っていった。


小学生のクセに大化けしている奇妙なそれを手に取り、ペラペラとめくって見る。





そこにはおれの知らない世界が広がっていた。




可愛く、そして美しく、時には色っぽく、また時には清楚に、女性は幾通りにも変化する。


本来おれが持ち合わせるはずだった、過去に置き去りにしてしまった“女性らしさ”が、そこには確かにあった。









おれだって…







おれだって…









少しは…ーー変わりたい。







いつまでも男扱いされたくない。








覚悟を決めて買い物カゴに入れた。


同年代の卵形でスベスベもっちりな肌をした可愛らしいモデルが、肩を大胆に露出し、素肌をちらりと見せて微笑んでいた。









おれは…









おれは…









今日から…









女に…










なる!
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