ずっとキミが好きでした。
「翼、おはよ」



  


「おはよ、みっくん」






今日もまたみっくんと昇降口で遭遇してしまった。


なるべく顔は見ないようにサッと上履きを取り出した。


かかとをトントンと鳴らし、みっくんを無視して歩き出す。





一卵性の双子は顔がそっくり。


昨日のことを思い出してしまう。


みっくんには申し訳ないけど、おれは距離を取りたかった。





「翼、昨日あすとなんかあった?」





「へ?」





みっくんがあっという間におれの隣に並んだ。




みっくんは昔からそうだ。


カンが妙に良い。


おれが何も言わなくても察するらしい。


そして話したくないことでも強引に話させようとする。




おれは知らぬ間にみっくんに捕らわれてしまった。






「いやあ…別に。スーパーでばったり会っただけだけど」






「ーーそれだけ?」






探るような眼差し。


きりっとした目元に、あっすーにはほくろがあるが、みっくんにはない。


おれは口の中で異様に大量放出されている唾をゴクリと飲み込み、真っ直ぐにみっくんを見て言った。












「おれには歌わせてくれないんだね」
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