それは無理です
悔しくて情けなくて…悲しくて、しょうがない。

あぁ、思ったよりキズは深いのかな。

簡単に流せればよかったのに。

好きになってもらえると…。

幸せな結婚を夢見たバカな女。

『…もう、私の理想の結婚は望まないわ。ただ、組の為にできることをして、子供を産めば私の役目は終わりよ。』

「姐さんっ!」

『…そうよね?』

背後にいるのは途中から気がついていた。

「お前の理想はなんだ?」

じっと見つめて聞いてくる。

『もういいの。…護衛も彼に頼むから。出かける時は言うわ、吏苑(りおん)。』

無言の二人を残して、そのまま立ち去る。

ああ、涙が流れなくて良かった。

そんなカッコ悪い女、自分でも絶対イヤだ。

…情けない。
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