君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「違いますっ……。

もう、さっきから随分な言い様ですよね。

だいたいあの時、かぐやさんは澪音の指を折るって言ってたみたいじゃないですか。

冗談でもピアニストの指を折るって言うのが信じらんないんですけど!」



「あははっ。あなたが怒るポイントってそこなの?

別に冗談じゃないわよ。

澪音がもし、ここぞっていう時にミスするようなヤワなピアニストなら、指か折れたところで構わないもの。

彼はそうじゃないことを証明して見せたんだし、別に良いじゃない」


「全然良くなんかないです!

あまりにも澪音に対して酷すぎます。あなたは澪音の初恋の人なのに。

そんな気持ちで私から澪音を奪おうとしたなんて!」


「ふふっ。

いいわね。やっとあなたのそういう目を見れたわ。

私を謝らせたかったら、そして澪音の事情について知りたかったら私から合格点をとってみなさい。

あなたのための戦い方を教えるわ」


* * *


一時間後、私の目は完全に座っていた。

それは言うまでもなく、鬼教官かぐやさんの講義による影響で……。


「……マナーは鎧、教養は武器……。嫌みを言うのは二流の証……」


「あらあら、少しやり過ぎたかしら。」
< 164 / 220 >

この作品をシェア

pagetop