君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
弥太郎さんがいなくなってしまうと、会場内でぽつんと一人きりになった。

音楽がかかっているのに、踊る相手はいない。澪音は遠くにいてダンスなんて頼めない。


暇だな……。


周りを見ると、私のように暇そうな女の子がちらほら見かけられた。みんな、澪音と踊りたいのかもしれない。


「良かったら踊りませんか?」


「はぁ?何であなたと?何で女同士で踊るのよ」


「だってお互い暇でしょう?私、男の人役のリードできますから」


「何言ってるの?」


「踊りたい相手との練習だと思って、ね?お願い」


澪音のように、優しく女の子の手をとりダンスに誘う。私はダンス教室の手伝いで女の子と踊るのには慣れてるから、何の抵抗もない。

澪音とのダンスを思い出して、その優雅なエスコートを真似てみた。


「可愛いですね。やっぱり女の子ってあなたくらい華奢だと良いなぁ。私大柄だから憧れます」


「……な、な、何言ってるのよ!」


彼女と離れると、不思議と別の女性から声がかかった。何人もの女の子と踊って、ダンスを楽しんでいると……


「柚葉さん、私はね、邪魔な女を蹴散らせと言ったのよ。『たらしこめ』とは言ってないわ」


かぐやさんが呆れた顔で仁王立ちしている。


「こんにちは。澪音が忙しくて暇なので踊ってました。かぐやさんも一緒にどうですか?」


「私は止めとくわ。あなたって、本当にダンス馬鹿なのね。ふざけたロビー活動だと思ったけど、それ案外有効かもしれないわ。

あなた、そうやって澪音に群がる女を自分に手懐けてるんだもの。男役スターさながらね」


「手懐ける……?ロビー活動??」


「いいわ、わからないでやってる天然の方がいいのかも。好きになさい」


かぐやさんの言うことの意味を真剣に考える間もなく、次々と女性ダンスパートナーが現れて踊る。



「待て、柚葉。俺を置いてくな」
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