君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「澪音はあなたのこと、優しい人だと言っていたのに……。
こんなに人が悪いお兄さんだとは思いませんでした」
弥太郎の酷すぎる物言いに、私も一切の遠慮は切り捨てて言い返す。
『澪音は間違ってない。俺は弟に優しくしているつもりだ。優しさの一環として、お前のような女を排除している。
澪音はお前の手には余る存在だ。諦めろ』
「わかってますよ。澪音は私のことなんか本当は好きじゃないって。
私はどうせかぐや姫の身代わりです」
澪音にはどうしても言えなくて堪えていたいたせいか、弥太郎さんの前ではつい本音を漏らしてしまった。
「かぐやの、みがわり?」
不思議そうに口を動かした弥太郎さんは、吹き出すように笑って続けた。
『それは違うんじゃないか?
身代わりならもう少し気の利いた女を選ぶだろ。舞姫ではかぐやと違いすぎて身代わりは務まらない。
だからそれは見当違いだ、安心しろ』
親切な言葉をかけてくれるんじゃないかと一瞬でも期待した私が馬鹿だった。
「慰めならもう少し優しい言葉にしてくれれば良いのに……」
『慰めではない。そもそも何故俺がお前を慰めなきゃならない?』
クスクスと笑われるので、がっくりと項垂れる。この人に口喧嘩で勝てる気がしない。声を失っていてこれなんだから、普通に話せていたらもっと大変なことになっていただろう。
『それより、その汚ない格好を早くなんとかしろ』
そう言って弥太郎さんはお屋敷に向かって歩いていく。
「誰のせいでこうなったと思ってるんですか」
浴室が同じ方面にあるので、不本意ながら私も後ろをついていった。
こんなに人が悪いお兄さんだとは思いませんでした」
弥太郎の酷すぎる物言いに、私も一切の遠慮は切り捨てて言い返す。
『澪音は間違ってない。俺は弟に優しくしているつもりだ。優しさの一環として、お前のような女を排除している。
澪音はお前の手には余る存在だ。諦めろ』
「わかってますよ。澪音は私のことなんか本当は好きじゃないって。
私はどうせかぐや姫の身代わりです」
澪音にはどうしても言えなくて堪えていたいたせいか、弥太郎さんの前ではつい本音を漏らしてしまった。
「かぐやの、みがわり?」
不思議そうに口を動かした弥太郎さんは、吹き出すように笑って続けた。
『それは違うんじゃないか?
身代わりならもう少し気の利いた女を選ぶだろ。舞姫ではかぐやと違いすぎて身代わりは務まらない。
だからそれは見当違いだ、安心しろ』
親切な言葉をかけてくれるんじゃないかと一瞬でも期待した私が馬鹿だった。
「慰めならもう少し優しい言葉にしてくれれば良いのに……」
『慰めではない。そもそも何故俺がお前を慰めなきゃならない?』
クスクスと笑われるので、がっくりと項垂れる。この人に口喧嘩で勝てる気がしない。声を失っていてこれなんだから、普通に話せていたらもっと大変なことになっていただろう。
『それより、その汚ない格好を早くなんとかしろ』
そう言って弥太郎さんはお屋敷に向かって歩いていく。
「誰のせいでこうなったと思ってるんですか」
浴室が同じ方面にあるので、不本意ながら私も後ろをついていった。