イノセント

「随分と痩せたのね。」

私に抱きついていたDaintyは私の腰回りをずっと撫でている。

「恥ずかしいから、辞めてくれ。」

Daintyに襟を引かれ、背後に倒れる。
私の顔の上にはDaintyの顔。

「ねぇ、好きよ。」

Daintyは私にキスを落とした。

「……私もだよ、もうあの頃には戻れないけれどね。」

「何をそんなに気にしているの?
何も変わっていないわ、今も昔も。」

Daintyは私の隣に寝転び、私の首筋に沿って その白い指を滑らせる。

「そんなに私の首が出ていることは珍しいかい?」

「だって Victor ずっと長髪だったし、私と居る時は大抵 髪を下ろしていたじゃない。」

Daintyの前でいる時はいつも自然体だった、ということだろう。

身形の心配も要らない、ありのままの自分を好いてくれていると分かっていたから 人前に出るときには必ず束ねるよう 言われていた髪を下ろしたまま Daintyと会っていたんだ。

「でも、いつだったか 髪を短くした時があったよね?」

「あぁ、父上と大喧嘩した時。

1ヶ月間 毎日 跪いて謝っても許してもらえなくて、最後には髪を切ったね。

父上は驚いただけだったけれど。」

「なんで喧嘩してたんだった?」

「対人関係。」

対人関係、というか Daintyと遊びすぎだ、一国の王子としての体裁を弁えるように、と怒られた。

本人の前では、恥ずかしいから言えないが。

コンコンーと、ノックの音が聞こえる。

「Dainty、隠れて。」

Daintyはクローゼットの中に入った。

私は、部屋の扉を開いた。

「はい、御用でしょうか?」

「晩食の時間となりましたので、食堂へお越し下さい。」

「解りました、わざわざ 有難うございます。」

扉を閉めて、溜息をついた。

……突然のことすぎて、驚いたが 確かにもう陽も傾いている。

長い間 寝ていたんだな。

私がクローゼットの扉を開けるや否や すぐに私に飛びついてきたDainty。

支えきれなくて、後ろに倒れた。

ゴツンーと大きな音を立てた。
……痛い。特に背中。

「行きましょう、Victor?」

"待ってくれ" 私の手を引くDaintyを止めた。

「バスローブのままで食事に行ったなら 雷が落ちる……、着替えるから コーディネートしてくれないか⁇」

満面の笑みを浮かべるDainty。
矢張り 女性はファッションが好きなんだろう。

Daintyに選んでもらったスーツにネクタイを締め、部屋を出た。

痩せてしまったために、以前のスーツが身体に合っていないように感じる。

仕立て直してもらう必要がありそうだな……。
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