眠り姫に恋したのは年下御曹司
誰もいなくなった座敷から私も出て行く。


鞄を手に持ち、私を待っていてくれる佐東さんに近づいていく。



「片桐、平気か?」


「はい、大丈夫です。私はお手洗いを済ませてから帰りますから、佐東さんはお先に。」


「そうか?本当に大丈夫か?」


「ははっ、大丈夫です。私、お酒は強い方ですから。」


「なら、お先に。」


「はい。お疲れ様でした。」



佐東さんに挨拶をして、私はお手洗いに向かった。


女子トイレの鏡を覗けば、見た目はいつもと全く変わらない私がいた。


少し飲み過ぎたのは自分でも分かってはいる。



「ふぅ〜、帰ろうかな。」



私はお手洗いで用を済ませて、お店の外へと出ていった。


そこで私の足は止まってしまった。



「双葉さん?」


「片桐さん、大丈夫?」


「あっ、はい。大丈夫です。もしかして待ってくれてました?」


「一緒の方向だから。」


「すみません。」


「いえ、帰りましょうか?」


「はい。本当にすみません。」
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