眠り姫に恋したのは年下御曹司
結局、私は双葉さんと一緒に帰る事になった。


同じ方向の電車なのは、朝の通勤でお互いに知っていた。


だから双葉さんは私を待ってくれていたのだろう。


背の高い双葉さんの隣を歩いて駅へ向かう。



「片桐さん、もう少し一緒に飲みませんか?」


「えっ?」


「あああ、でも片桐さんは飲み過ぎてますよね?」


「…………。」



双葉さんの誘いは嬉しいが、少し飲み過ぎているのは自分で分かっている。


きっと双葉さんにも私が飲み過ぎなのは分かっていると思うが。



「やっぱり片桐さんは飲み過ぎてるみたいだから止めときますか?」


「…………。」



隣を歩く双葉さんと目が合う。


なんか親睦会で失態を犯したみたいな感じの言い方に聞こえてきてカチンとくる。


双葉さんは多分私より年下だと思う。


多分だが…………。



「大丈夫です。」



つい反抗的な言葉が口から出ていた。


双葉さんがニヤリと笑った気がした。
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