葵くん、そんなにドキドキさせないで。
ぜ、絶対見つからないようにしなきゃ…
チラッと階段の方を見ると、葵くんはまだ女の子たちに囲まれていて。
「ひひひ陽菜ちゃん、今日は向こうの階段から上に行こう…?」
「え?うん、別にいいけど…」
どうして?って、陽菜ちゃんの顔が言ってる
ご、ごめんね…事情は後で絶対話すからっ
葵くんを取り囲む女の子たちの軍団
その後ろを通り過ぎようとした時
「あ、田中さん。おはよう」
………王子様に見つかった。
ビクッと肩があがる
それから、ギギギ、とロボットみたいに声のした方を見た
「ねぇ、良かったら一緒に教室行かない?」
「あっ、葵く、」
遠慮しときます。そう言いたいのに…