宮花物語
言葉を返さない黄杏に、何も言わずに去っていった青蘭。

月明かりの中、愛し合うと言う事は、いかに奇跡的な事なのか。

黄杏は益々、奇跡的に出会った信志に、会いたくて会いたくて仕方がなかった。


だが翌日、信志が寝屋に選んだのは、黄杏の屋敷ではなく、青蘭の屋敷だった。

今日も来ない。

黄杏は、屋敷の窓から、青蘭の屋敷を見てみた。

時間的に、夕食が終わり、屋敷を訪れる頃だった。

青蘭は、久々の王の訪問に、屋敷の玄関で待っていた。

王が玄関の前に立つと、青蘭は嬉しそうに、王に抱きつく。

抱きつかれた王も、満更ではなく、二人はしばらく離れようとはしない。


ー 王を慕う気持ちはなく…… ー


昨日の夜の青蘭の言葉が、黄杏の耳に甦る。

「嘘つき……」

自分は、人質としてやってきたと、王への気持ちが、全くないように言っていた青蘭。

だが今の青蘭は、王と心を通わせているではないか。
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