宮花物語
「信寧王……様……」

自分に気持ちがないと知りつつも、抱き寄せられると幸せな気持ちになる紅梅。

「今日は、夕食を共にするか?」

「えっ!?」

あまりの驚きに、紅梅は体を押し離した。

「どうした?そんなに驚く事もなかろうに。」

「いえ。ご夕食はいつも、白蓮奥様とご一緒なのでは。」

「まあ、いいではないか。たまには。」

初めてと言うくらいに見た、王の優しい微笑み。

それを見ると紅梅は、それ以上断る事はできなかった。

「はい。嬉しゅうございます。」

「では、そうさせよう。」

王は紅梅の女人に、夕食は紅梅の屋敷で摂る事を伝えた。


それは、いつも夕食を共にしている白蓮の元へも、伝えられた。

「そう……」

目を細める白蓮。

「黄杏様のご懐妊を妬んだ紅梅様が、王をたぶらかしたのでしょうか。」

白蓮付きの女人が、耳元で囁く。

「滅多な事を言うものではありませんよ。あの方も、王の妃ですからね。」
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