宮花物語
さて、紅梅の屋敷に運び込まれた夕食は、普段紅梅が使っている机いっぱいに、広げられた。

「こんなに、豪華な食事を召し上がっているのですか?」

「そうだな。」

王は紅梅の隣に座ると、王宮に向かって手を合わせた。

慌てて紅梅も、手を合わせる。

「では、頂こうか。」

「はい。」

すると片手が使えない紅梅に変わって、王自ら、皿に料理を取り分けた。

「信寧王様。紅梅様のお食事は、私達が……」

紅梅付きの女人が、焦りながら王に近づく。

「いいのだ、いいのだ。」

そう言って、次から次へと皿に料理を盛った後は、それを紅梅の口許に持っていき、箸で食べさせようとする。

「お、王!」

これには紅梅も、困りに困った。

「ほら、口を開けて。」

「でも……」

「我らは夫婦ではないか。何を恥ずかしがる事がある。」

王のその言葉に、意を決した紅梅は、思いきって口を開けた。

「旨いぞ。」
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