宮花物語
「……なんだか、元気がないな。」

「いえ。」

せっかくの、久しぶりの夜。

その上、夕食を共にしてくれるなんて。

本当は心の底から嬉しいはずなのに、微笑む事さえできない。

「もしかしたら今日は、来ない方がよかったか?」

「い、いえ!」

怪我をしている方の手で、王の腕を掴む。

「痛い!」

「大丈夫か?」

うずくまる紅梅を、王は心配した。


「王……私……」

本当はもっと、自分の元へ来てほしい。

本当はもっと、自分に気持ちを向けてほしい。

本当はもっと……


自分を愛してほしい。


それが言えなくて、紅梅の目には、だんだん涙が溜まっていく。

「紅梅……」

そんな気持ちを知ってか知らずか、王はいつものように、抱き締めるだけ。

紅梅の胸に痛みは、益々大きくなっていった。


夕食が終わって一段落すれば、紅梅は夜の営みの準備をする。

湯殿に入り、念入りに体を洗う。
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