宮花物語
「そう言えば、そなたとゆっくり、情を交わす事もなかったな。今日は、ゆっくりと時間をかけて、睦合おうか。」

「はい……」

紅梅は、ようやく自分にも、黄杏や青蘭と同じような、甘い時間が来るのだと思った。

体に触れられ、優しい瞳に自分が写る。

「信寧王様……」

「王……」

正に二人が、肌を合わせようとしていた時だった。


「王!大変です!」

忠仁が、紅梅の屋敷に駆け込んできた。

「どうした!」

王は直ぐに、布を紅梅に掛け、上着を羽織る。

寝所の扉を少し開け、忠仁は小声で伝えた。

「黄杏様が、切迫流産の危険がございます。」

「何!?黄杏が!?」

その叫びは、紅梅にまで届いた。


黄杏に何かあった?

昼間、あんなに元気そうだったと言うのに。


「分かった。直ぐに行く。」

「はい!」

忠仁が屋敷を出ると、王は服を着た。

それを見て、紅梅は見送りに来る。
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