宮花物語
「子ができぬ自分の元へ通う事で、私に子ができる好機を失ってほしくないそうだ。」
「それで?王は、分かったと帰って来たのですか?」
「ああ……」
忠仁はわざとらしく、大きなため息をついた。
「……そう言えば黄杏様は、多宝村のご出身でございましたな。」
「そうだ。」
「懐かしいですね。多宝村に一行で向かってから、もうすぐ1年でございます。」
忠仁は椅子を持って来て、信志の隣に座った。
「覚えていらっしゃいますか?黄杏様は最初、お妃候補ではなく、台所で宴会用のお食事を作っておられた。」
「ああ、そうだ。」
信志は、それがどうした?と言う顔だ。
「その方を、王は見初められた。」
信志からの返事はない。
「お妃になれぬ方には、お会いになられますな。私がそう申しても、あなた様は黄杏様を諦めなさらなかった。」
静かに手を握りしめる信志。
「そこには、条件などなかったはず。今と同じ状況なのでは?」
「それで?王は、分かったと帰って来たのですか?」
「ああ……」
忠仁はわざとらしく、大きなため息をついた。
「……そう言えば黄杏様は、多宝村のご出身でございましたな。」
「そうだ。」
「懐かしいですね。多宝村に一行で向かってから、もうすぐ1年でございます。」
忠仁は椅子を持って来て、信志の隣に座った。
「覚えていらっしゃいますか?黄杏様は最初、お妃候補ではなく、台所で宴会用のお食事を作っておられた。」
「ああ、そうだ。」
信志は、それがどうした?と言う顔だ。
「その方を、王は見初められた。」
信志からの返事はない。
「お妃になれぬ方には、お会いになられますな。私がそう申しても、あなた様は黄杏様を諦めなさらなかった。」
静かに手を握りしめる信志。
「そこには、条件などなかったはず。今と同じ状況なのでは?」