宮花物語
次の日、黄杏の元へ一通の手紙が、女人を通して渡された。

「これは?」

「宮中に出入りしている商人からでございます。」

「商人?」

黄杏は、手紙の筆跡を見て、懐かしくなった。

そう、兄の将拓の字だ。

黄杏は嬉しそうに、手紙を開けた。


【 黄杏、元気にしているだろうか。
  縁あって、しばらく宮中に出入りできる事になった。
  一度でいいから、会えないだろうか。
                将拓 】

「兄上……」

黄杏に思わず笑みがこぼれた。

「えっ?」

女人はもう一度聞こうと、顔を上げる。

「あっ、いや。なんでもない。」


王の妃に兄がいるのは禁忌。

それは、宮中にいれば、いずれ分かること。

宮中にいる者に、兄・将拓の存在は知られては、ならないのだ。


だが、自分が王に嫁ぐ為に、自分の役人としての人生を捨ててくれた兄。

もう会えないと思っていた兄が、手の届く場所にいる。
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