宮花物語
早速翌日。

笠を被った黄杏と女人は、屋敷を飛び出し宮中の敷地内にある、出店へと出かけた。

ここは宮中で働いている者達が、日用品や洋服・装飾品を買う為に、商人達が開いている店だった。

使用人達であっても、宮中で働いているのだから、給金もよく目も肥えている。

出店を開ける商人は、良い品物を出せる、限られた者にだけ与えられた特権だった。


出店に来ている使用人達に、顔を見られないように注意しながら、黄杏は、兄の姿を探した。

出店の列の半ば頃まで来ただろうか。

女人がそっと、黄杏の袖を掴んだ。

「お妃様、あの者です。」

黄杏は、女人が指さした男に、ハッとした。


顔は浅黒く、上半身もたくましくなったが、その面影は間違いなく、兄・将拓だった。

「もう少し、近づこう。」

「はい。」

女人も商人に近づけるのを、楽しみにしているように、黄杏の前を歩く。

店の前に行くと、将拓は他の客人をもてなしていた。
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