宮花物語
店の奥は、周囲を布で覆われ、多くの商品の在庫が置かれているようだ。

このような場所で、王の妃と一介の商人が、逢引き?

女人は、耳を澄ませた。


一方、そんな事を知らない黄杏と将拓は、久々の再会を喜んでいた。

「ああ、もっとお顔をよく見せてください。本当に兄上なのですね。」

黄京はたまらず、将拓にしがみついた。

「シッ!誰か聞いているか分からぬ。兄上ではなく、名前で呼んでください、お妃様。」

「では将拓殿。私の事も名前で呼んでおくれ。」

「はい、黄杏様。」

二人で慣れない呼び名に、クスクス笑いが止まらなかった。


「本当にお元気そう。将拓殿は商いをされているのですね。」

「ああ。親切にしてくれた人がいてね。そこで、美麗と共に世話になっているんだ。」

「美麗と!?」

これもまた懐かしい名前に、黄杏は心が弾んだ。

「村を出る時に、一緒に来てくれてね。そのまま結婚したんだ。今は子供も二人いる。」
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