宮花物語
「黄杏様?」

「……実は最近、他の妃の屋敷に盗賊が入って、夜の宮中は、護衛の数が多くなっています。その中で屋敷内で会うのは、とても難しいように思えます。」

「そうですか。」

将拓は、唇を噛んだ。


血を分けた妹が、もう一度会いたいと言うのだ。

兄として、どうしてもその思いを叶えたい。


「護衛が手薄になる時は、ないのでしょうか。」

将拓の言葉に、黄杏は何かを思い出した。

「丁度……明後日の夜。王が国務で宮殿に戻らぬ日があるのです。その時であれば、王も屋敷内にいない為、護衛の数も少なくなるはず。」

「それだ!」

将拓は小声で叫んで、黄杏の耳元に近づいた。


「明後日の夜は出店を片付ける為、作業に時間がかかります。私が夜まで宮中にいても、誰も疑う者はいないでしょう。とは言っても、やはり屋敷の中は危険です。屋敷の外にある門で落ち合うのは、如何でしょうか。」

「ええ、分かりました。」
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