宮花物語
黄京と将拓は頷き合い、店の奥から出てきた。

一部始終を聞いていた女人は、急いで店の表に出てきた。


「黄杏様、お気をつけて。」

「ええ、将拓殿。」

商人と別れた黄杏に、女人は近づいた。

「……どこへ行っておられたのですか?」

「ああ、すまなかった。あの商人からの、櫛を買っておった。」

黄杏は、兄から貰った櫛を、女人に見せた。

「まあ。なんと綺麗なお櫛ですこと。」

その櫛は、女人の想像以上に、豪華な作りだった。


「そなたは、何か買わぬのか?」

黄杏は女人に尋ねた。

「え、ええ。どれも素敵で、何を買ったら良いのか、分からなくなりました故……」

女人は、笑ってごまかした。

「では、屋敷へ帰ろうか。」

「はい、お妃様。」

そして黄杏と女人は、その商人の店を後にした。

しばらくして女人が、少しだけ振り返ると、あの商人が黄杏を見送っている。

女人は、ゴクンと息を飲んだ。
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