宮花物語
約束の日。

王である信志は、国務で屋敷を開ける為、妃達の屋敷をまわっていた。

当然、黄杏の屋敷へも足を運ぶ。


「黄杏。一晩だが留守にする。他の妃達と一緒に、宮中を頼むぞ。」

「はい。」

黄杏は引き出しの中から、小さな袋を取り出した。

「信寧王様、どうかこれをお持ちください。」

「ん?これは何か?」

信志は、その小さな袋を受け取った。

「お守りでございます。」

「お守り?」

信志は微笑むと、黄杏の側に近寄った。

「黄杏は一晩でも、我が身が心配と見える。」

「はい。王の身に何かありましたら、私は生きていけません。」

「はははっ!」

高らかに信志が笑った時だ。


黄京は信志の耳元で、囁いた。

「今夜、兄の将拓が会いに来ます。」

信志はチラッと黄杏の方を向いた。

「……上手く、難を逃れたか。」

「はい。今は、商人をしております。」

「そうか。よかった。」
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