宮花物語
「分かりました。青蘭に免じて、ここは引きましょう。」

白蓮は、それだけを言うと、広間から出て行った。


しばらくして、広間には安堵のため息が漏れた。

「青蘭様。有難うございます、有難うございます!」

黄杏は何度も何度も、青蘭に頭を下げた。

「青蘭。私からも礼を言う。よくぞ、助けてくれた。」

信志も青蘭の肩をさすった。

「いいえ、大した事はしておりません。ただ……」

青蘭は将拓を見つめた。

「私の兄も、同じように訪ねて来てくれたらと思うと、居ても立っても居られなくなりました。」

「青蘭様……」

黄杏は青蘭が、どのようにしてここに来たのか、知っているだけに、胸が痛くなった。


「お妃様にも、兄君がおられるのですか?」

将拓が尋ねると、青蘭は横を向いた。

「戦で命を落としたのです。遺体も見つかっておりません。今もふと、生きているのではないかと、思う時があるのです。」
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