宮花物語
「そんな!」

白蓮は勇俊に、歩み寄った。

「このままでは、黄杏が跡継ぎを産むのは、待逃れないでしょう。国母の兄が、優れた役人。きっと王か忠仁、いづれかがあの男を宮中に招き入れるのは、目に見えています。そうなった時、何が起こると言うのですか?」


勇俊は、口をパクパクと動かした。

恐ろしくて、言葉にできないのだ。


「皆の知らないところで、王の親戚による独裁政治が、始めるとも限りません。そうならぬように、今から悪の芽は摘んでおかなくては。」


白蓮の王后としての、強い思いはわかる。

だがあの有能な男の片目を奪う事など、自分の手には、どうしてもできない。


「奥様。どうか、お許し下さい。」

勇俊は膝を着き、額を床につけた。

「なぜお前が、謝るのです?」

勇俊の体は、震えだした。

「私には無理です。どうか、そのような恐ろしい考えは、お捨て下さい。」

白蓮は片手で、勇俊の顎を上げた。
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