宮花物語
困り果てた顔で、勇俊は白蓮の屋敷から出てきた。

自分がやらなければ、他の者が将拓を襲う。

そうなれば、手加減などしないだろう。

本当に目が潰れてしまうかもしれない。

だったら、自分がやった方がいい。


でも、そんな事自分には、できない。

どうすればいいんだ。


頭を振りながら、いつの間にか黄杏の屋敷に辿り着いていた。

中からは、黄杏と将拓の幸せそうな笑い声が、聞こえてくる。

兄妹水いらずの夕食でも、囲っているのだろう。

いつもは黄杏の元へ行く信寧王も、青蘭の元へ行くと、通達があった。


問題はそこだ。

紅梅の屋敷に信寧王が訪ねるなら、隣同士、紅梅の屋敷を見守る護衛達が、刺客の壁になったかもしれない。

だが青蘭の屋敷は、紅梅の屋敷の向かい側だ。

黄杏の屋敷は、丁度死角になる。

闇に乗じて、ふいに屋敷から出て来た将拓を、襲うかもしれない。


勇俊は、そっと黄杏の屋敷の側に、近づいた。
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