宮花物語
「今宵は私が、お妃様の屋敷を護衛致します。ですが、夜中に襲われた時の為に、直ぐに宮中を発てるよう、身支度だけは準備しておいてください。」

将拓は、勇俊から体を離した。

「……それは、本当の話なのですか?」

勇俊は、手を強く握った。

「……残念ですが、本当の話です。」

すると将拓は、笑顔を見せた。


「教えて頂いて、有難うございます。」

「将拓殿……」

信じられない程に、将拓は余裕の笑みを浮かべていた。

「それならば、黄杏に怖い思いをさせてしまうかもしれません。それに、お妃の屋敷内で、そんな物騒な事が起これば、信寧王にもご迷惑がかかります。私は、夜中のうちにここを発つとしましょう。」

そう言って将拓は、勇俊に背中を見せた。


「なりません!」

勇俊は、急いで将拓の肩を掴んだ。

「一人になってはいけません!余計に襲われてしまいます!」

勇俊は、息が切らせながら叫んだ。
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