宮花物語
「護衛長、落ち着いて下さい。」

狼狽えるはずの将拓に、返ってなだめられる勇俊。

そうだ。

自分よりこの人の方が、心穏やかではないはずなのに。


「……すみません。ですが、私は……どうしてもあなたを、失いたくないのです。」

「護衛長……そんなにも、私の事を……」

勇俊がそっと顔を上げると、そこには将拓の真っすぐな瞳があった。

その人を信じようとする美しい瞳に、勇俊は打ち崩されてしまって、その場に膝を着いた。

「将拓殿!」

「はい。」

勇俊は、右手の拳で地面を叩いた。

「あなたを襲えと命じられた刺客は、この私です!」

「護衛長殿が?どうして、刺客なんて……」

そこまで言って将拓は、ハッとした。

「……命じたのは、正妃様なのですね。」

「はい!……」

もう隠しきれない勇俊は、将拓の前で地面に頭を付けた。


「黄杏様にお子が生まれれば、有能なあなたは必ず、政治に参加すると仰せられて……」
< 264 / 438 >

この作品をシェア

pagetop