宮花物語
「なぜ、そのような在りもしない事を!」

将拓は、唇を噛んだ。

「だから今のうちに、あの者の片目を奪えと。そうすれば、政治に参加できまいと。」

「私の……片目を?……」

将拓は、初めて背中が凍る思いをした。


「もちろん、断りました。私には無理だと。しかし正妃様は、だとすれば、他の者に襲わせるまでだと……」

将拓は、見えない大きな陰謀に、勇俊の前に崩れ落ちた。

「そうですか……だとすれば、あなたに襲われた方が、私は……」

「いいえ!」

勇俊は、目の前にいる将拓を両肩を掴んだ。

「まだ諦めるには、早すぎます!」

「護衛長?」

「私は、あなた様をお守りします!生きて!怪我一つ負わずに、宮中を出られるように!」

勇俊の目は、真剣だった。

「外に出れば、外にさえ出られれば、後は嘘の話を流せばいいだけです。今夜だけ耐えて下さい!」

「分かりました。では私はこの話を聞かなかった振りをして、黄杏の屋敷に泊まりましょう。」
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