宮花物語
「はい。」

「護衛、お頼み申します。」

将拓は一礼をすると、黄杏の屋敷に戻って行った。

それを見届けた勇俊は、屋敷の裏手に回る。

屋敷の作り上、どこから入ろうとしても、必ず裏手から入らなければならないからだ。

勇俊は潜む位置を決め、身を隠した。


それから数時間後。

すっかり灯りが消えた屋敷に、静寂が訪れた。

一向に何者かが動く気配もなく、護衛長はしばしの仮眠を取った。

よく考えてみれば、将拓が泊まっているのは、お妃様の屋敷なのだから、簡単に手出しはできないはず。

今夜襲うかもしれないと言うのは、自分の思い過ごしだったのかもしれない。

勇俊はすっかり、眠りに入ってしまった。


どのくらい経っただろうか。

勇俊の目に、朝日が舞い込んできた。

「……朝か。」

目を覚ました勇俊は、黄杏の屋敷の中を覗いた。

いつものように、女人達が朝ご飯の用意をしている。
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