宮花物語
「あなたって、本当お目出度い人ね。」

「えっ?」

紅梅は、じっと黄杏を見つめた。

「あなた……お兄様がいるんですって?」

黄杏の目が、大きく見開いた。

「それをどこで!」

「この前、怪我をしたお兄様が、私の屋敷に運び込まれたわ。」

「怪我?兄上が!?どうして?」

「さあ。何だか誰かに襲われたって、父上は言ってたけれど?」

途端に黄杏の顔色が、悪くなる。


「今、どこにいるの?」

「さあ……」

本当は自分の実家、忠仁の屋敷にいるのだが、そこまで教えたら、紅梅自身が怒られる。

「お願い……兄上は、私の為に……」

黄杏の目から、涙がボロッと零れた。

紅梅はそれを見て、真っすぐ前を向き直す。


「知ってどうするの?あなたが行っても、どうにもならないじゃない。」

「血を別けた兄妹なのよ?心配して駆けつけるのが、本当だわ。」

「これだからお馬鹿さんは、困るわ。」
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