宮花物語
「黄杏さん?」

それでも黄杏の足音に気づく紅梅。

「また来たの?それとも、一緒に祈りを捧げに来たの?」

返事もなく、黄杏は紅梅の隣に座った。

「これを……届けに来たの。」


紅梅の前に、あの薬草が入った包みを置く。

「これは?」

「私の実家のある村に生えている薬草なの。一説ではこれがあるから、村は子宝に恵まれるんだって、両親は言ってたわ。」

紅梅は、そっと包みを開ける。

見れば、ただの草にしか見えない。


「これって、煎じて飲むの?」

「そうなの。それを飲むと、体全体が温まるの。それでお子ができやすくなって、子供も無事生まれてくるんだって。」

紅梅は、改めて黄杏を見つめた。

「どうして……私にそんな薬草を?」

「私、さっきの紅梅さんの話を聞いて、考え方が変わったわ。私ももっと、妃としての自覚を持たないとって。」

紅梅は、目をぱちくりさせた。
< 297 / 438 >

この作品をシェア

pagetop